Mag-log inミレディの日用品を買いに行くことにした。現在、彼女が持っているのは今着ている服だけ――たった一着。それ以外のものは何もない。
着替えもなく、綺麗な銀髪をとかすクシさえ持っていない。
まあ、孤児にとっては、クシよりも腹を満たす食べ物の方が優先されるのだろう。それは当然のことだ。
だが、俺が面倒を見ている以上、食事を与えるだけでは不十分だ。生き延びるためだけの生活ではなく、安心して過ごせる環境を整え、いずれは自分自身で未来を考えられるようになってほしい。
ミレディにとって「身なりを整える」ことは、ただの贅沢ではない。社会の中で生きる上で必要なものだ。綺麗な服を着て、髪を整え、最低限の生活用品を揃える。それらはただの物ではなく、自分を大切にするという意識を育てることにもつながる。
「まずは、必要なものを揃えないとな」
だから、まずは――身の回りのものを揃えてやるところから始める。
「今日は買い物に出かけるぞ。用意を……って、用意することもないか。」
本来なら、女の子は出かける前に身なりを整えたり、準備に時間をかけたりするものだろう。 だが、ミレディにはまだその習慣がない。
「ん? どこいくのー? おでかけ? やったぁ!」
俺の言葉を聞いた瞬間、ミレディの顔がぱっと明るくなった。無邪気に俺の腕を掴み、期待に満ちた笑顔を向けてくる。
そんな様子に、少し苦笑しながら思う。 こうして嬉しそうにしている姿を見ると――彼女が、身なりを整えることの楽しさを知るのも、そう遠くないのかもしれないな。
ユウが木製の扉を押して店に入ると、チリン、と控えめな鈴の音が響いた。「いらっしゃいませっ!」
すぐさま、店の奥から小さな足音とともに現れたのは、年端もいかない少女だった。ブロンドの髪をきれいに結い上げた彼女は、くたびれたエプロンを身につけてはいるが、所作は驚くほど洗練されていた。背筋を正し、深々と頭を下げるその姿は、まるで貴族の屋敷で仕える侍女のようだった。
(あれは……使用人? いや、奴隷か?)
ユウは警戒半分、興味半分で店内を見渡した。棚には雑貨や筆記用具、乾物などが並んでいる。
「ええと、ペンと紙を探してるんだけど……」
「はい、こちらでございます」
少女はすぐに顔を上げて微笑み、軽やかな足取りで棚の奥を案内してくれた。丁寧な言葉遣い、無駄のない動き。だが、その袖口から覗いた腕には、薄いあざのようなものが見えた気がして、ユウの眉がわずかに動いた。
「おい、何をサボってやがる!」
突然、店の裏から怒鳴り声が響いた。重い足音とともに現れたのは、大柄で脂ぎった中年の男だった。酒の匂いを漂わせたその男は、少女の襟元を無造作に掴み上げた。
「また客としゃべってやがったのか、この役立たず! 調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
「ひっ……! し、失礼いたしました……!」
少女は恐怖に震えながら頭を下げる。だが、謝る間もなく、男の手が勢いよく少女の頬を叩いた。乾いた音が店内に響く。
ユウの目が鋭く細められる。
「ちょっと待て」
「……あ? なんだテメェ! 客だからって、うちの問題に口出しすんなよ!!」
店主はユウを睨みつけるが、その眼には濁った苛立ちと酔いの気配しかなかった。
「客だから言ってるんだ。……見てて気分が悪い。子どもを殴って満足か?」
「こいつは奴隷だ。商品に口出すな!」
ユウは一歩前に出る。静かだが圧のある声で問う。
「その子は商品なのか? じゃあ、この子を売る気はあるか?」
「はっ、冗談じゃねぇ、こいつは……」
言いかけた店主の言葉が止まった。ユウの眼差しが、まるで氷の刃のように刺さる。その空気に、店内の温度が数度下がったように感じられた。
「売る気がないなら……手を出すな」
少女が頬を叩かれた瞬間、ミレディはかすれた声を上げ、ユウの背中にしがみついていた。震えが伝わる。かつて受けた傷が、彼女の中で疼いているのだろう。
「ユウくん……やだ……あれ、やだよ……!」
「大丈夫だ、ミレディ」
ユウはそっと後ろ手で彼女の手を握り、前を向いた。
「おい、使用人ども! そいつ、ぶちのめせ!」
店主が怒鳴ると、奥の戸が開き、盗賊まがいの男たちがぞろぞろと現れる。目つき、装備、動き。どう見てもただの店の従業員ではない。
「こりゃあ、本格的にアウトだな」
ユウは小さくため息をつき、軽く手を振った。ミレディと少女の周囲に淡い光が展開される。
「《領域結界・外界遮断》――二人とも、ここから出るな」
男たちが叫び声と共に飛びかかる。しかし次の瞬間、彼らの一人が――音もなく壁にめり込んだ。
「がっ……!?」
「な、何を――ぐっ!?」
ユウの動きは速すぎて視認できない。瞬間移動にも似た魔力操作と身体技で、次々と襲撃者たちを床へと沈めていく。
魔力を纏った手刀、重力を操る掌底、加速の魔法による体術の融合――。
「これで全部か?」
ユウが最後の一人を沈めた頃には、店の中は静寂に包まれていた。
そこへ、騒ぎを聞きつけた街の衛兵たちが駆けつけてくる。
「おい、何が起きた!?」
店主がすかさず叫ぶ。
「こいつです! こいつが暴れて、うちの従業員に暴行を!!」
セラの狙いは、パンを奪うことではなかった。少年の虚栄心と、周囲からの評価を利用することで、争いを収め、同時に自身の「無害さ」と「可愛らしさ」を周囲に再認識させることだった。彼女は、言葉一つで人の心を動かし、状況を有利に変える術を、この頃から会得していた。 警備兵の冷たい対応。あの日、絶望の淵で助けを求めても、誰も聞く耳を持たなかった。だが、今となっては、それすらも感謝している。もし同情され、親身に話を聞いてもらっていたら、彼女は何も学ぶことはなかっただろう。ただ慰められ、何も解決できず、無力なまま過ごしていたはずだ。人を頼っては裏切られ泣くだけの少女となっていたか、甘い言葉に利用され泣くだけの日々を送っていたかもしれない。 警備兵が冷たくあしらってくれたおかげで、彼女は無邪気な少女を演じながら、一切の感情を消し去る術を覚えた。可愛らしい笑顔の裏には、冷静で計算された視線がある。無邪気な言葉の下には、相手の心理を操る知恵がある。力はなくても、話術に交渉術――生き抜くための技術は、彼女の身体に染み込むように、自然と備わっていった。 ——孤児の世界での生存戦略 孤児として生きることは、決して楽ではなかった。しかし、セラは本能的に生きる術を理解していた。彼女はただ孤独に苦しむのではなく、周囲の人間を最大限に活用することを選んだ。 孤児たちの世界にも、暗黙の序列がある。強い者は守られ、弱い者は淘汰される。セラは戦う力を持たない。ならば――強い者に守られる立場になるしかない。彼女はいつも無邪気な笑顔を見せ、「守りたい」と思わせることで、安全な環境を確保していた。独占欲を引き出せば、誰かが側にいてくれる。少女の小さな体を盾にする者は多く、彼女はその心理を知っていた。 孤児として生きる以上、知識こそ最大の武器。セラは頭の良い者と親しくなり、会話の中で必要な情報を集めた。「どこが危険なのか」「誰と関われば得をするのか」これらを知ることで、最悪の状況を避け、最良の選択を取り続けた。知識は力になる――それを、彼女は幼い頃から理解していた。 危険な場所には近づかず、危険な者とは距離を取る。無駄なリスクは負わない。それがセラの生存戦略だっ
町外れの静かな村で、セラは貧しくも幸せな家庭に生まれた。質素な暮らしのなかで、わずかな家畜を育て、畑で野菜を作り、家族みんなで食卓を囲む日々を送っていた。近所の幼馴染たちと遊ぶ時間が、何よりの楽しみだった。 だが、そのささやかな幸福は、一夜にして崩れ去る――。 ——闇夜の襲撃、燃え落ちる故郷 ある夜、村は闇に包まれた。それは静かな襲撃ではなく、すべてを奪い尽くす凶暴な略奪だった。盗賊たちが押し寄せ、金品を奪い、女性や子どもを連れ去っていく。一夜にして村は廃墟と化し、家々は炎に包まれ、悲鳴が夜空に響き渡った。セラの家もまた、その惨劇の標的となった。 セラは五人兄弟の末っ子で、唯一の女の子。家族にとって、特に兄たちにとっては、守るべき大切な存在だった。父は万が一に備え、セラの子ども部屋のベッドの床下に、小さな隠れ場所を用意していた。地面を掘り、床板で覆っただけの、簡素な空間である。 だが、そこに兄たちが隠れる余地はなかった。だから――兄たちはセラだけを、そこへ押し込めた。「いや! お兄ちゃん!! 出して! みんながいなきゃ……わたし、生きていけない!」 泣き叫ぶセラに、兄たちは笑って見せた。「生きてりゃ、きっといいことあるさ!」 「俺たち、死ぬつもりねぇし! また、みんなで仲良く暮らそーぜ!」 「声を出すなよ!」 それが、セラと家族の最後の会話となった。 ——惨劇の朝、突きつけられた現実 夜が明け、静寂に包まれた村で、セラは隠れ場所から必死に這い出した。そこに広がっていたのは、変わり果てた故郷の姿だった。 村は瓦礫と屍に埋もれ、静寂だけが支配していた。人々は木の棒や農具を手に、抵抗の跡を残したまま倒れていた。父も、兄たちも、そして母も――誰一人として、生き残ってはいなかった。町外れのこの村は、王国にとってただの辺境に過ぎなかった。衛兵が現れることは一度もなく、助けを求めることすら叶わなかった。焼け跡をさまよい、最後の希望を胸に町へと向か
ユウはすぐに警備隊長を呼び出し、国境警備の強化と不審な動きの報告を命じた。しかし、それはあくまで表向きの対処だ。ユウが本当に頼りにしたのは、地下深く、人知れず活動する「影猫」が持つ、地を這うような情報網だった。「影猫よ、全力を挙げよ。敵の意図、兵力、侵攻ルート、総大将の性格、指揮官の癖……あらゆる情報を集めろ。特に、奴らの奇襲の可能性と、弱点となり得る箇所を探れ。」 ユウの指示は明確だった。ミレディとシャルロッテは、その言葉の重みを理解し、影猫の全メンバーに最高位の指令を発する。孤児たちは、町や街道、そして時には国境付近の森の奥深くまで潜り込み、日夜情報を集め続けた。 ——影猫の情報網:敵の深層を暴く 数日後、次々と集められた情報は、驚くべきものだった。「敵国の主要部隊は、偽装した商隊に紛れて国境近くに集結しています。偵察隊は偽の情報で別のルートを散布しています。」「指揮官は、戦術に長けていますが、夜襲と火計を特に警戒する傾向があります。」「敵の補給路は、第三国の国境近くにある未開の森を迂回しており、その森には危険な魔物の群れが生息しています。ただし、このルートが最短のため、彼らはそこを強行突破する計画のようです。」 シャルロッテが冷静に情報を整理し、ミレディが補足していく。敵の侵攻は単なる正面突破ではなく、欺瞞と裏をかく戦術を含んでいること、そして彼らが補給路において大きなリスクを抱えていることが明らかになった。特に、未開の森を迂回する補給路の情報は、ユウにとって決定的なものだった。「なるほど……火計を警戒するか。そして、魔物の森を強行突破。奴らは時間を稼ぎたい、もしくは一気に決着をつけたいと考えているな。」 ユウは集まった情報を見つめ、静かに思考を巡らせる。彼の脳裏では、領地の地図と敵の動きが立体的に展開されていった。 ——ユウの采配:最小限の犠牲で勝利へ ユウは即座に作戦を立てた。 まず、辺境伯領の兵士たちには、敵の偽装偵察隊を追
子どもに案内されながら歩く途中、ミレディは「危ないんじゃないの!?」と気づく。「でも、わたしたち、お金持ちじゃないもーん。お姉ちゃんは危ないかもー!」そう言われ、ミレディは詳しい場所だけを聞いた。孤児だった彼女には土地勘があり、その場所がどういうところかすぐに理解できた。 ミレディはすぐにシャルへとその情報を伝え、慎重に確認を進めた結果、情報が確かだと判明する。そして、ユウに報告した時のこと──「本当か……! いい仕事をしたな、ミレディ。」 ユウが笑いながらミレディを褒めたその瞬間、ミレディは初めて気づく。情報は、力になり、武器にもなり、お金にもなると。 この出来事をきっかけに、シャルとミレディは情報の価値を意識し始める。孤児たちは社会の影に生きながら、実は誰よりも世界を見ている。その情報が武器になることを確信し、秘密裏に組織を作る決意を固めた。「そうですね……拠点が必要となりますね。そうなると……人目に付かない町はずれですかね。町の中ですと他の孤児も集まってしまって大変なことになってしまいます。少人数が良いです。信頼ができる孤児を集めて……拠点の事は秘密にしてという感じでしょうか。」 友だちのことを話すと、シャルは現実的な意見を述べた。「うん。それがいいね。さんせーい♪ 実はね、頼みたかったんだぁ~。わたし、お金ないしぃ……年下のシャルちゃんに頼みずらくてさぁ……」「ユウ様に知られてしまうと、危ないからダメだ、と言われそうですね……秘密で。」「うん。わかったぁ! ひみつぅ」 ミレディとシャルは、孤児たちを安全に保護するため、町外れの空き家を拠点に定めた。そこは質素だが、人目を避けるには十分だ。孤児たちは新たな生活を始めると同時に、自分たちが持つ情報の価値を少しずつ理解していく。 ——情報収集と分類の確立「私たちは、ただ孤児を守るのではなく、
秘密影猫(かげねこ)組織の誕生——情報収集の始まり ——ミレディの成長と誇りの紋章 ミレディは今では、一人で平気で町へ出かけられるほどにまで成長している。かつて彼女は孤児として男に襲われた過去があり、その恐怖からユウに助けられ、保護された。あの出来事をきっかけに、彼に深い信頼と想いを寄せるようになった。 当時のミレディはユウと片時も離れようとせず、トイレに行くときでさえ付き添いを求めたほどだったが、ユウはいつも笑顔で応じていた。 そんな彼女に自信が芽生えたのは、武器を買い、戦闘訓練を積み、仲間と共に川へ向かう途中で獣を討伐し、ユウに褒められたことがきっかけだった。さらに、ユウから贈られた辺境伯の紋章入りペンダントと、同じ紋章が金糸で刺繍されたショートマントも、彼女の背中を力強く押したのだった。 この紋章は国王から正式に授けられたもので、王国の象徴たる黄金の王冠が頂点に輝き、その下には騎士剣と両手剣が交差する。「王国の守護者」としての武勇と戦略の均衡を示し、交差点には魔物討伐の象徴たる燃え上がる炎が刻まれる。背後には領地を囲む森の影が深緑で描かれ、王国の境界を守り、魔物の脅威と対峙する宿命を象徴する。剣の下部には鋼鉄の盾が据えられ、王国の紋章が刻まれる。これは「王国の最後の砦」としての役割、辺境伯の忠誠と防衛の責務を誇示するものだ。盾の周囲に彫り込まれた城壁の意匠は、王都へと続く唯一の安全な道を守る者であることを示す。 紋章全体は鋭角的な構成で、整然とした威厳あるデザインだ。王家より授けられたこの紋章は、単なる貴族の印ではなく、「魔物討伐と王国防衛を担う者」という誇り高き使命を刻み込んだ象徴なのである。 この紋章のおかげで、ミレディが町で絡まれたり、意地悪されることはなくなった。声を掛けてくるのは警備兵や衛兵くらいだ。さらに、ユウに連れられ買い物をしていたことで、町の人に顔を覚えられている。誘拐や襲撃の恐れがあるため護衛はつくものの、ミレディは自由に街を行動できる。彼女自身も、町で襲われそうになった際にナイフを使い瞬時に撃退し、その強さを知らしめていた。 —&mda
シャルの小さな胸を触りながら、抱きしめて上半身を起こした。片手は乳首を弄り、もう片手で柔らかな腹を撫でる。腰を小刻みに動かし、中をかき混ぜるような動きをした。その刺激に、シャルの喘ぎ声はさらに甘く、乱れていく。「んぅぅん……♡ あぁ……ん♡ あ、あ、あぁ……ん♡ や、だ、だめぇ……あぁ……ん♡」 シャルの瞳は完全にトロけて焦点が定まらず、口元は僅かに開き、甘い吐息が漏れる。身体は快感に打ち震え、膝をガクガクと震わせ、今にも崩れ落ちそうだ。その腟内が、きゅぅぅと俺を締め付けてくるとぷしゃ……ぷしゃぁぁ♡と腰をビックンっ♡ ビックンっ♡と動かし、快感に身を震わせながら潮を吹き出した。「あぅ……♡ ユウ様ぁ……で、出ちゃいましたぁ……ううぅ」 絶頂の余韻に、小さな体をひくっひくっと震わせるシャル。その顔は恍惚としながらも、どこか呆然としていた。 俺も射精をして、振り向くシャルの唇に夢中でキスを始めた。「んぅ……はぁ、はぁ♡ んぅ……♡」 シャルも夢中でキスを返してきた。互いの唇が熱く、喘ぎと混じり合ったキスは、二人の絆をさらに深く結びつけるようだった。 夢中でキスをしてくるシャルを抱きかかえ、俺はソファーへと向かった。「はわっ、どちらへ?」 急に抱きかかえられたシャルが、目を丸くして驚いた顔で聞いてきた。その小さな手が、思わず俺のシャツをぎゅっと掴む。「ソファーで、ゆっくりと続けようかと……」「そうですか……もう、終わりだと……思いました」 顔を真っ赤にしたシャルが、恥ずかしそうに、しかしどこか名残惜しそうに言った。そんな可愛らしい姿を見て、シャルの頬に頬ずりをした。







